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北九州市立大学

社会における
契約の在り方の変化を
少しずつ明らかにする。

法学部
法律学科
福本 忍 准教授

福本 忍 准教授

研究の魅力

 私の研究対象は、いったん成立した契約を一方的に解消する「契約の解除」制度の基礎理論です。契約も一種の“約束”ですから、本来、約束は守られるべきものです。ですが、一定の要件のもとで、一方的にその契約(≒その約束)を反故(ほご)にすることができます。「だって、民法540条以下に、契約の解除ができるって書いてあるから。」では答えにはなりません。「なぜ、契約を解除できるのか?」という問題を突き詰めて考えると、日本、フランス、その他諸外国の民法における「契約≒約束」に対する考え方の違いが浮き彫りになります。この“解除制度の奥深くに潜む契約観”について、フランス民法学、さらに、ローマ法時代まで遡って考えることで、社会における契約の在り方の変化が少しずつ明らかになります。一生をかけて謎解きに挑むこの感覚が研究の魅力?魔力?でしょう。

研究の源

 社会規範(ルール)である法律の解釈?適用は、その論理の筋を誤ると、結論がいくら立派でも、説得力を失います。社会的に妥当な結論を導き出すために、過去の学説や裁判所の判決(判例)が築き上げてきた緻密な論理体系は、まるで壮大かつ難攻不落なピラミッドのようです。この構造を少しでも明らかにしたい!という“負けず嫌いの執念”が私の研究の源ですね(笑)。

研究の未来

 わが国の民法典(債権法分野)は、2017年に大改正され、2020年4月1日から改正法が施行されました。約120年ぶりの大改正です。私の研究分野である「契約の解除」も改正されました。この改正で日本の契約社会?実務がどのように変化していくのか? 民法学全体に課されたこの壮大な“問い”について生涯考え続けていかなければなりません。

ゼミのイチオシ

 私の専門ゼミ(3?4年生の民法専門演習)では、主に、民法(債権法)分野の最高裁判決を、徹底的に分析します。判決の読み方の“お作法”から本格的な判例評釈の書き方?読み方まで、ゼミ生たちと徹底的な議論を通じて私自身も考え方を改めたことが多くあります。今はコロナ禍でオンライン?ゼミですが、白熱した議論は健在です!

先生のイチオシ

法学は「大人の学問」です。酸いも甘いも嚙み分けた大人になれるよう、勉強の合間に小説など色々な書物を読み漁りましょう! 山崎豊子『不毛地帯』はイチオシの社会派小説です。法律の世界も取り上げられています!

オフショット

趣味は、ネット将棋、洋画鑑賞、百人一首(競技かるた)、猫カフェ通い(コロナ禍以前)、マイナー語学修得(ハンガリー語やフィンランド語少々)、「けいおん!Tシャツ」を着ること(←この趣味に妻は「……」。おっさんが「けいおん!」着たら何であかんねん!笑)です。

Profile

福本准教授
プロフィール

生まれも育ちも京都市。そう!あの「日本に京都があってよかった。」という謳い文句が市営バス等の中刷広告に踊ったほど「“超”上から目線」民族が住まうあの旧都出身です(笑)。27歳までを過ごし、縁あって母校(立命館大学大学院博士後期課程)を満期退学し、2007年4月に法学部法律学科に着任し、現在に至ります。専攻は、民法学(債権法学?契約法学)。特に、いったん成立した契約をなかったことにする制度である「契約の解除」について、わが国の民法とフランス民法とを比較しながら、解除制度の基礎理論や要件論について研究しています。学位は、修士(法学?立命館大学〔大学院〕)。博士論文を3年以内に公表することが現在の目標です。
もともと、学校の先生や研究者という職業には、まったく興味も関心もありませんでした。読書や調べものをすることは好きでしたが……。高校時代は古典や数学が好きで、大学に内部進学する際も文学部志望でした(相撲史研究がしたいなぁ~と思っていました。)。ところが、進路指導の先生から、「お相撲の研究じゃあご飯は食べられないよ!君は法律をやりなさい!」と。言われるがまま“何となく”法学部を選択しました……。そこが人生の分岐点。
大学進学後も、「民法」は一番嫌いな法律科目でした(苦笑)。ところが、3?4年の専門ゼミでなぜか民法を選んでしまい、研究をしていくと解からないことだらけで悔しくなってしまったのです。“超”がつくほど負けず嫌いなので、こうなったら、好きなことは趣味にして、嫌いだが調べたり考えたりすることで少しずつ解かっていく民法学と一生添い遂げてやろう!と思い、大学院の研究コースに進みました。本当に人生とは解からないものです。

福本准教授イラスト

法学部Faculty of
Law

  • 法律学科 福本 忍 准教授
  • 法律学科 岡本 舞子 准教授
  • 法律学科 水野 陽一 准教授
  • 政策科学科 田代 洋久 教授
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