現代の金融システムや
金融のグローバル化、
国際通貨体制などを研究。
経済学部
経済学科
唐 麗(とう れい) 准教授
研究の魅力
私の専門分野は金融論です。現代の金融システムや金融のグローバル化、国際通貨体制(主に多極化の動向)などについて研究しています。大学で学ぶ「金融論」というのは、お金をどのような仕組みで、どのくらいの量を市場に供給したら、一国の経済活動全般がより活発になるか、より円滑になるか、ということを研究する学問です。学生さんが、金融論の授業で学んだ基礎知識を踏まえて、今後、社会人として経済的に自立し、より良い暮らしを送るために、不可欠な金融リテラシー、つまり、お金に関する判断力を身につけてもらうことを目指しており、「金融論」教育の目標としております。
研究の源
私は大学生の時、中国で日本語を四年間勉強していましたが、修士から、経済学という新しい分野で挑戦し、視野を広げて、そして自分の能力の限界を試してみたかったので、小さい頃から憧れていた国である日本にまいりました。日本に来てから、ここ約10年間で、恩師の先生方、先輩および、周りの多くの人々から、いろいろと教えて、助けていただきました。また、文部科学省等の奨学金を支給していただいたおかげで、勉強と研究を続けることができました。こうした感謝の気持ちを持ちながら、これから日本で教育と研究の仕事を続けていくことで、日本社会に貢献していきたいと思います。
研究の未来
私の研究テーマは、国際通貨体制の現状と課題についてであり、具体的には、国際通貨の地位の変化が、世界各国間の貿易決済、金融投資などの経済活動にどのような影響を及ぼしているかを考察しております。国際通貨論は、国境を越えた資金決済の実態を研究するもので、金融分野の中でも、非常に重要な学問領域です。私の研究の特徴は、米ドル本位制やドイツ?マルクの国際通貨化に係る研究を通じて体系化された「外国為替論アプローチ国際通貨理論」を、人民元の国際化研究に応用することで、国際通貨体制の現状を理解するために、もう1つの新しい視点を提供したことです。
これから、ポストコロナの国際通貨体制(特に人民元国際化)の課題に焦点を当てており、研究を進めていきたいと思います。
ゼミのイチオシ
私のゼミでは、「現代の金融政策の理論と実際」をテーマに、「VUCA(ブーカ=変動性?不確実性?複雑性?曖昧性)」の時代における金融の役割について考察します。具体的には、欧?米?日など主要国の金融政策面での中長期的な対応について考察したうえで、金融?資本市場の参加者の自主的な選択?意思を反映する市場取引面の課題について論じます。
私のゼミは、「アクティブ?ラーニング(主体的?対話的で深い学び)」を重視します。3?4チームに分かれて、欧?米?アジアなど各地域が抱える多様な課題の中から、学生が自分の興味のあるテーマを見つけ、研究を進めてもらいます。特に、身のまわりの金融関連のトピックスについて、十分なディベートの時間を設けています。議論はいつも盛り上がっています。
- 先生のイチオシ
大学の授業は、多くの情報から大事なことを見つけたり、関連を理解したりする活動になりますので、一つの学習課題を解決するために、内容を細分化して、易しい内容から、難しい内容へ段階的に行い、無理なく、クリアしていけるように学べる環境を、学生に提供したいと思います。また、ゼミでは、学生一人一人の学習進度やニーズに合わせた、きめの細かい指導を行うことが、何よりも重要だと考えます。
- オフショット
仕事以外では、水泳やヨガ、Zumbaを楽しんでいます。軽い運動をすると心が安らぎます。その他には、哲学や文学、歴史に関する本を読むことも趣味です。
なお、研究面においては、最近は近代経済学の古典であるケインズの『貨幣論』やシュムペーターの『資本主義?社会主義?民主主義』などを改めて勉強しています。
唐准教授
プロフィール
私は中国湖北省の洪湖市に生まれ育ちました。大学卒業後は、福岡大学大学院商学研究院?九州大学大学院経済学研究院に学び、その後、九州大学経済学研究院の助教および関東学園大学経済学部の講師を経て、2023年4月より本学に着任いたしました。現在は金融論とマクロ経済学などの科目を担当させていただいております。
私は約10年前に留学生として日本にまいりまして、その後、修士課程と博士課程には、恩師の先生方からは、経済学の専門知識だけでなく、研究者としての基本的な物事の考え方を一から学ばせていただきました。これから、感謝の気持ちを持って、学生の教育や若手の育成に携わりながら、研究成果を社会に還元できたらと思います。北九州市立大学の学生と一緒に成長していきたいと思っております!