排水?廃棄物の処理と
資源循環を両立する
技術を創る。
国際環境工学部
環境化学工学科
安井 英斉 教授
研究の魅力
排水?廃棄物の処理に関わる環境工学は比較的歴史が若く、20世紀初頭の西欧に始まりました。当初の研究は都市の衛生や水域の汚染低減に主眼が置かれていたものの、社会の要請は時代とともに大幅に変化し、現在は排水?廃棄物の処理を通して資源を回収?利活用できるようにすることが使命の一つに位置付けられています。しかしながら、排水?廃棄物からの無理矢理な資源循環は、その工程でかえって化石燃料を始めとする従来の資源を無駄に消費してしまいます。従って、環境汚染の最小化と資源循環の最大化を両立するためには、工学的な独創によって処理システムの効率性を高めることが何よりも大切となります。効率の目標は対象?国?分野?業種でさまざまであり、それぞれ固有の事情を有しています。環境を保全する良心とともに、これらを考慮しながら新たなシステムを創っていくことが本分野の大きな魅力です。
研究の源
排水?汚泥処理の過程から永続的に発生する廃棄物は、枯渇が懸念される化石燃料と異なり、資源の宝庫と見なすことができます。この積極的な利用検討を社会実装できるようにすることは、環境工学に携わる私たちの最も大切な役割のひとつです。環境工学は微生物学?数学?化学?化学工学等の学問分野が重層的に関わる分野であり、各分野の視点で解析した事象を再度統合的に把握しようとする姿勢が真理に近づくために何より大切です。
研究の未来
資源循環技術によって母国の環境問題を解決できるよう、ベトナム?タイ?中国を始めとする多くの留学生が私たちの研究室で学んでいます。このことを念頭に、私たちの研究室では現地の具体的ニーズに応える排水?廃棄物処理システムの開発とともに、化学?微生物学?化学工学の視点で反応機構を解明する基礎研究を進めています。
ゼミのイチオシ
研究室で学ぶ学生は、およそ半数が海外からの留学生で占められます。研究室に入った日本人の学生は当初は英語を使うコミュニケーションに恥ずかしがっているようですが、すぐに学友として仲良くなり、卒業後も連絡を取り合っています。卒論?修論でアジアへ現場実験に行く日本人学生もいて、海外を身近に感じられる研究室の雰囲気がイチオシです。下の写真は、ベトナムの汚水処理に関する外国人功労章の表彰式とモンゴルの河川現地調査風景です。
- 先生のイチオシ
私たちの資源循環技術研究室は、最先端の実験機器に加えて生物処理プロセス?化学処理プロセス?リアクタの流体を計算するシミュレータも具備しています。実験機器で得られた自分のデータを理論的に考察できる研究環境がイチオシです。
- オフショット
水環境汚染を低減する教育研究を通して、アジアの国々と友好を深めることをライフワークとしています。アジアの水環境は東、東南、北、南、中央、西の地域で課題が様々ですが、いずれの国々でも文化的に同じ琴線を持っている気がします。
安井教授
プロフィール
東北大学理学部で干潟の水環境を卒論に選びました。このときに水環境汚染の低減に直接的に貢献する仕事をしたいと考え、水処理エンジニアリング会社に就職しました。20余年に亘って水?廃棄物の技術開発に関わっていたのですが、公害問題を克服した北九州市と密接な関係を有する北九州市立大学がアジア新興国の環境問題に取り組む教育研究分野を新たに開設することになり、縁あって教授となりました。